展覧会・イベント

シンポジウム「外から見た五美大展」

【令和元年度 第43回 東京五美術大学連合卒業・修了制作展】

会期:2020年2月20日(木)~2020年3月1日(日)
10:00-18:00(入場は17:30まで)休館:25日(火)
会場:国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2 )

シンポジウム「外から見た五美大展」
2月22日(土)14:00-16:00(開場:13:30)
定員260名(先着順)
会場:国立新美術館 3階講堂

登壇者:
黒瀬陽平、田村かのこ、成相肇、長谷川新、藪前知子
モデレーター:杉田敦

企画担当者:五美大展シンポジウム実行委員会
飯田竜太、大島成己、小林耕平、 末永史尚、杉田敦、冨井大裕

https://www.musabi.ac.jp/topics/20200108_03_02/
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例年、行われている五美大展です。
主役はお客様の前に現前する作品であり、その作家です。

個人的には、大学で思い通りにやった作品(展示)を、思い通りにはいかない状況の中でどの様に成立させるか(何を捨てて、何を残すか)。この態度の中から、卒展では見えてこなかった作品個々が持つギリギリの表現の可能態が見えてくるのではないかと思っています。

シンポジウムでは登壇者の方々に自由に出展作品をチョイスして頂き、その作品を起点に大いに放談頂きます。
添付のフライヤーに記された通り、その内容は卒業/修了作品の枠を超えた現在の表現についての討議になると予想します。作家が作品に意図的に/計らずも内包した視点が外部の視線に晒された時、その内包された視線は何処に向うのか。

合わせて是非、目撃してください。
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ここからは「五美大展」について作家として教員として、外野から見ていた時と内部から見ている現在から、個人的に思うことを下記に述べてみます。謂わば内輪の話です。繰り返しますが、展示の主役は作品です。こういう話は不要という方はご放念ください。

学生自身のベスト(目一杯)展示は大学構内の展示にあります。近年は私の学生時代(90年代末)と違い、大学の卒展にはご親族から美術業界の人々まで実に多くの来客があります。このことを踏まえ、主に貸し会場であることから生じる新美術館での一部展示の困難を鑑みると、「このままの五美大展」を続けること、学生がそこで作品を展示することにどの様な可能性を保持することが可能なのか。個人的に疑問は多々あります。

それでも、同じ様な名前(油絵、版画、日本画、彫刻)を掲げながら、大学間で違う価値観やあり方があること(ご当地的価値観の差異?)とそれを目の当たりにできること。無駄に多い観客と向き合うこと(そこで見えてくる自作の姿)。大学で思い通りにできた展示を、思い通りにいかない状況でどのように成立させるか(何を捨て、何を残すか)。こんな「今後はなかなかないこと」を、この時期に敢えて体験できる場として、「五美大展の使いよう」はまだあると私は感じています。

肝要なのはどう使っていくか。運営する側(私も含め)が、五美大展を慎重に(様々な表現の立場にある学生と教員の集合体が今の美大であり、五美大展)かつ過激に(同時に、だからこそ現状維持が良いわけでもない)使っていくことでしょう。まずはここから。

以上の様なことは、私だけではなく、この五つの美大に関わった多くの人が思っていることではないでしょうか。けれども43年も続いているとなかなか簡単に動かすことは難しい。それでも、まずは考えてみよう、難しさを受け止めてみよう。

武蔵野美術大学 冨井大裕